秋の夜に彼と車の中で
車の中で別れ話を持ち出した私は、秋風吹く夜23時の通りに置き去りにされ、とぼとぼ歩いていました。
売り言葉に買い言葉で威勢よく啖呵を切ったものの、月に照らされてアスファルトに細く伸びた自分の影と、こつこつと頼りなく響く自分の足音に怯える始末。
すると、バッグの中で鳴る携帯電話。彼からの着信に、もしかして「戻ってきて車で拾ってくれるのかも」と、電話に出ると「俺、お前のこと絶対に許さないからな」の捨て台詞。
ここまでされると、いっそ清々しい気分になり、お腹の底から吹っ切れてタクシーを拾いに走りました。
さて、それから10年。
私の登録している某SNSサイトに、その彼からの友人リクエスト。
もう許す、ということなのでしょうか。
それとも忘れたのでしょうか。
私は忘れていません。
彼が私の人生から出ていった夜の、あの清々しい気持ちを。
そしておそらく彼は、そのまま風俗街へと言ったに違いありません。
そういう男でした。
冗談で風俗嬢があーだこーだと、彼女の前で言う男だと知った時点で縁を切れば良かったのですが、夜の相性が抜群すぎて離れられなかったのです。
とても愛してくれました、身体の方は。
もうメロメロになるぐらい求められ、激しく抱かれた日は、一日中ボーッとしていました。
結構、アブノーマルなこともやりましたよ、おしりを舐めるのは当たり前というレベルですけど。
お隣の夫婦喧嘩のすさまじさ
私の実家のお隣に新婚さんがお引越ししてきました。
引越しのご挨拶にご夫婦で来られたのですが、とても感じのいい草食系のご夫婦とうイメージだったのですが、これがとんでもない肉食系だったのです。
ある日の夜のことです。女性の叫ぶ声がかすかにするので、最初はだれかホラー映画でもみているのかと思っていました。
私の部屋は2階なので、風向きによって、ご近所の声が漏れてくることがあります。
しばらくすると、女性の声はますます大きくはっきりした言葉として聞こえてきました。
どうやら、ご主人を問い詰めているようです。
ベランダに出て声の聞こえる方向をさぐると、なんと、草食系ご夫婦の家から声が漏れているではありませんか。
ほとんどご主人の声は聞こえてきませんが、奥さんはかなり激しく怒っています。
これは浮気でしょうか。
ワイドショーより面白いので、しばらくべランダから観察しました。
いつの間にかおさまったので、その日は寝たのですが、翌日から三日間このすさまじい声は響き渡っていました。
間違いなくあの凶暴からして、奥様は肉食系です。