忘れられない初恋

結婚生活。
独身の頃はこの響きに強い憧れがあったものだ。
だけど、いざ結婚して夫婦としての生活が始まると、思い描いていたような甘いものとはほど遠いのが現実だ。
朝起きて、二人分の朝食を用意してバタバタ準備して仕事に出かける。
仕事から疲れて帰ってきて、今度は夕食の用意。
こんなルーティン業務の中で、甘い愛の言葉をささやきあう余裕なんて一体どこにあるのだろう・・・

そんなつまらない日常の繰り返しだからなのだろうか、寝る前の布団の中でたまに思い出す。
あの、痩せた体に細い切れ長の目・・・もう二度と会うことはないであろうその彼の事を。
5年前、私の一目惚れではじまった切れ長の目の彼とは、結局半年くらい付き合ってたのかな。
元々彼女がいるのは知っていた。要は彼の二股。もっというと私は二番目の女。
今の私だったらそんな人に深入りすることはないだろうけど、そのときは、そんな事がどうでもよく思えるくらい大好きだった。
所詮私は二番目だったから、逢うのはいつも彼からの連絡待ち。
その頃はいつ連絡があってもいいように、仕事が終わったらまっすぐ家に帰って、いつでもスタンバイOKの状態にしていた。
彼からの急なお誘いに備えてせっかくの友達からの誘いも断ったり。でも結局鳴らない携帯を握りしめながら寝る毎日。
そんな幸せともいえない切ない恋から救ってくれたのが今の旦那だ。
まぁ途中色々あったけど、旦那のおかげで二股の彼とはきっぱりお別れすることができた。
それを思うと、もっと旦那のこと大事にしなきゃな~って、ふと思う。
こんななんの取り柄もない私をもらってくれたんだし。
今日は久しぶりに、旦那の好きなハンバーグでも作ろうかな。

初恋は実るか実らないか

初恋は実らない恋だと言う。
しかし、私の周りでは初恋の相手と結婚した人が少なくない。
珍しいことなのか、それとも今の流行なのか分からないが、初恋の恋も実ることがある。
それだけは事実のようである。

私の初恋はもちろん、実るも何も片思いに終わってしまっただけ。
自分に自信が無い私が告白などできるわけもなく、遠くから見ているだけで終わった。
でもそれでよかったのだと思う。
今とても幸せに暮らせているから。

でも、本当にその人の事は好きだったような気がする。
子供の恋だから恥ずかしいのだが、でも彼に会えたことを本当に嬉しく思っている。
もう、どこに住んでいるのか結婚しているのか独身でいるのさえ分からない状態だが、どうか幸せな毎日を送っていてほしいと思う。
彼は私のことなど覚えているわけもないのだが。

大人になれば、色んなことがミックスされて難しい恋愛になってしまう。
ただ純粋に好きだとか会いたいだけの恋は難しくなる。
それは、どうしても未来の事を考えてしまうからである。
打算と言っても良いのかもしれないが、ただ好きだとか一緒にいたいという気持ちだけでは付き合うことができなくなる。

初恋は良いものだ。
以前主人と酒を飲みながらそんな話をしたことがあったが、主人も同じようなことを話していた。
こんな偶然があるのかと思ったのだが、主人の初恋の人と私は同じ名前。
そして私の最後の彼氏の名前と主人の名前も一緒だった。

最後と言ったら主人に悪い(笑)。
最後から二番目の彼氏の名前である。
こうやって互いの初恋の話しを肴に、酒を飲むのも悪くないと思った。

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